不動産の「個人間売買」とは、仲介業者を介さない不動産取引のこと。親子や親戚、知り合い同士などの間で売買するときに選択されやすい不動産取引方法です。

不動産の個人間売買は、仲介手数料が節約できるというメリットがある反面、住宅ローン審査が通りにくいという大きなデメリットがあります。

さらに買主に対して贈与税が課税されたり、大きなトラブルが生じやすかったりするリスクもあるため、個人間売買のハードルは高いとされています。

今回は難しい個人間売買を成功させる秘訣について、不動産エージェントがわかりやすく解説します。

不動産業者の仲介なしに住宅ローン審査を通すための方法についても触れますので、不動産個人間売買をお考えの方はぜひ参考にしてみてくださいね!

なぜ個人間売買の住宅ローンの審査は通りにくいのか?

計算機

個人間売買は、住宅ローン審査が通りにくい点が大きなデメリットとなります。

住宅ローンが通りにくい理由は、結論からいえば金融機関側のリスクが大きいから。個人間売買は仲介業者を介さないという性格上、誰と誰が、どういった目的で、どんな物件を取引するのか、金融機関は判断しにくいのです。

個人間売買で住宅ローン審査が通りにくい具体的な理由は、次の3つです。

1.   個人間売買の住宅ローンを取り扱っている銀行が少ない
2.   住宅ローン審査は「重要事項説明書」が大きな判断材料になる
3.   取引自体の正当性が判断しにくい

1つずつ詳しく見ていきましょう。

理由1.個人間売買のローンを提供している銀行が少ない

個人間売買の住宅ローン審査が通りにくい理由の1つに、前提として個人間売買の住宅ローンを取り扱っている銀行が少ないことがあげられます。

一般的な不動産取引における住宅ローン商品は、各金融機関が複数提供しています。しかし個人間売買は銀行側のリスクが大きいため、適用条件で「不可」とされていることが多いんですね。

個人間売買の住宅ローンを提供してくれる金融機関が見つかったとしても、金利が著しく高かったり、全額借入できなかったりと、一般的な住宅ローンと比較して条件が悪いことを覚悟しなければなりません。

理由2.多くの銀行は「重要事項説明書」で審査する

では、なぜ金融機関側のリスクが大きいのかという話。それはまず、物件の概要が把握できないためです。

住宅ローンを組む場合、ローン審査では重要事項説明書の内容が厳しくチェックされます。金融機関は、この重要事項説明書で物件の概要を把握します。

重要事項説明書とは、宅地建物取引士の有資格者のみが説明する権限を持っているもの。売買される不動産の調査結果や瑕疵(=住宅の欠陥)など、契約前に買主側が知っておくべき情報が全て記されています。

住宅ローンの仕組みは、物件を担保として購入金額の一部や全部を貸し出すというものです。そのため担保となる不動産の価値や概要が把握できないことは、金融機関側からすればリスクでしかない んですね。

理由3.取引自体の正当性も判断しにくい

3つ目の理由は、取引自体の正当性の問題。仲介業者を介さないということは、本人確認がおこなわれているのか?価格が適正なのか?といったことが判断できません。そのため金融機関は、「税金逃れ」や「第三者による取引」の可能性を危惧します。

親子や親族間で不動産の所有権の移転をする場合は、相続または贈与が一般的です。また他人同士の個人間売買では、詐欺や架空取引も懸念されます。

仲介業者を介さないで売買すること自体「なにかあるのでは?」「住宅ローンを他の目的への資金として利用するのでは?」という疑問が生じてしまうんですね。これらの懸念事項が確認でいない点こそ、金融機関にとって大きなリスクとなります。

個人間売買のデメリットは住宅ローンが組めないことだけではない

個人間売買には、住宅ローンが組めない以外にも複数のデメリットがあります。

買主に贈与税が課税される可能性も

個人間売買の中でもとくに親族間でありがちなのが、適正価格より安く売買してしまうこと。その場合「みなし贈与」として扱われ、当事者の認識がない状態で課税対象となってしまう可能性があります。

「みなし贈与」とは、本来の贈与とは異なるものの、相場よりも低額で譲渡(売買)をおこなった場合に、贈与としてみなされることです。

ただしこの場合の「相場」は市場相場ではなく、取引価格として適正であるとされる相場額。一概にいえるものではありませんが、固定資産税評価額や公示価格から判断されます。贈与とみなされない価格については、物件ごとに専門家の見解を聞くことが大切です。

売買契約後に発覚しがちなトラブル

個人間売買では、以下にあげるようなトラブルが起きることも危惧されます。

  • 土地の所有者になりすました地面師との売買契約を結んでしまい、支払った代金を持ち逃げされた(地面詐欺)
  • 瑕疵担保責任を安易に免責にしてしまったため、不動産を購入後に発覚した設備不良(瑕疵)に対して、売主に修繕してもらえない
  • 売買前に詳細をしっかり確認できておらず、「所有権」だと思ったら「借地権」だった
  • 不動産を取得したり手放したりしたときに所有者変更の移転登記しようとしたら、前所有者が相続登記していなかったため移転できなかった

個人間売買でも住宅ローン審査を通す方法

住宅ローン審査が通りにくい個人間売買ですが、通過率を上げることは可能です。さらに方法次第では、借り入れ条件のいい一般的な住宅ローン商品も選択できる可能性があります。

 必ずしも「仲介」が必要ではない

住宅ローンの審査を通りやすくするためには、必ずしも不動産業者による仲介が必要ではありません。

そもそも「仲介」とは、仲介とは売主と買主の間にたって、双方の契約を成立させることをいいます。物件探しや買主も探しもまた、仲介に含まれます。

個人間売買の場合は、双方で買主になること、売主になることは決まっているケースが多いですよね。そのため、仲介業者に仲介に関わる全ての業務をしてもらう必要はありません。

仲介に対しては「売買金額×3%+6万円」が上限の仲介手数料を支払わなければなりませんので、買主、売主が決まっている取引において「仲介を頼むほどでもない」との考えに至ることも自然なことだと思います。

とはいえ、審査の厳しい個人間売買においては、ローンを通しやすくするための必要な条件を熟知している専門家の手助けが不可欠であり、個人間売買を成功させる秘訣ともいえるのです。

  • 高額な仲介手数料を支払いたくない
  • だけど住宅ローン審査は通したい
  • その他のリスクもできる限り回避したい

このようなニーズを満たすのは、「仲介」ではなく「サポート」を依頼するということです。

弊社では個人間売買のサポートをしております

弊社EMLaboでは、専門性の高い不動産エージェントが仲介業務をおこなっております。それとともに、仲介を介さずに不動産取引を進める個人・法人様を対象に、不動産媒介支援サービスを提供しております。

個人間売買については、契約サポートパック30万円(税別)にて不動産の調査、不動産売買契約書や重要事項説明書の作成から司法書士の手配など、全ての工程をフルサポート。また、提携金融機関をご紹介させていただく場合には、上記+5万円(税別)にてサポートさせていただきます。

【4,000万円の物件を取引した場合の比較】

売主 買主
正規仲介手数料 126万円(税別) 126万円(税別)
弊社の個人間売買サポート 30万円(税別)
住宅ローンの斡旋・取次 5万円(税別)

例えば、4,000万円の物件を不動産業者の仲介で売買した場合、仲介手数料は「4000万円×3%+6万円」で126万円となり、売主・買主合計で252万円を支払わなければなりません。

もし書類作成のみのサポートで仲介手数料を半額にしてもらったとしても、費用の差は歴然。個人間売買のサポートで、弊社をお選び頂くメリットがおわかり頂けると思います。

個人間売買サポートの詳細については、コチラをご覧ください。

ただし弊社サポートは、住宅ローン審査の通過をお約束するものではありません。ローン審査では年収や年齢、借り入れ条件、さらに物件自体の担保適格性等、様々な項目が審査されます。

弊社サポートは住宅ローンを借り入れるためだけでなく、安心・安全な取引ができるとご好評いただいているサービスです。

専門家とのタッグで安心感のあるサービスを提供

不動産の個人間売買サポートは、行政書士・山地正朗先生と弊社の共同でおこなわせていただいております。

行政書士・山地先生のHPはコチラをご覧ください。

書類作成の専門家と不動産の専門家がタッグを組んで個人間売買をしっかりとサポートさせていただくため、不動産業者の仲介と変わらぬ安心や満足感を提供させていただきます。

 まとめ

不動産の個人間売買は、近年、増加傾向にあります。税金対策として親族間で不動産の所有権を移転する必要性が増したことや、不動産オークションなどのサービスが出てきたことが理由としてあげられるでしょう。

個人間売買は、法律に違反するものではありません。しかし住宅ローン審査が通りにくいこととともに、次のようなリスクがあります。

  • 不正や詐欺にあってしまう
  • 贈与税が課税されてしまう
  • 所有権や瑕疵などのトラブルが売買後に発覚

個人間売買の場合、これらのトラブルが起こったときには当事者同士で解決しなければなりません。

仲介業者の最大の役割は、リスク回避です。とはいえ買主・売主が決まっている取引において、高額な仲介手数料を支払いたくないというお気持ちもわかります。

結論として、個人間売買を円滑に進めるためには、個人間売買のリスクやトラブルをクリアできる知識と経験を持った専門業者のサポートを受けることが最も賢い選択といえるでしょう。