不動産は、売買契約を交わしただけでは自分の所有物にはなりません。所有権が売主から買主に移転するのは、「決済(けっさい)」が済んだ後です。
決済とは、手付金を除いた残代金を売主に渡し、売主から鍵を受け取る大事な日。決済日が売主に会うのが最後になるので、聞き忘れや確認漏れがないようにしっかり準備しておくようにしましょう。
それでは、決済の流れを説明していきますね。
目次
不動産売買の決済日当日の流れ
【一般的な決済日のスケジュール】(例)
10:00~ 決済は午前中に行われるのが一般的です
10:05~ 売主・買主・仲介業者・司法書士・銀行員でご挨拶
10:10~ 登記に必要な書類を司法書士に渡す・登記移転に必要な書類に署名・捺印
10:30~ 融資の実行
11:30~ 引き渡しに必要な書類の記入
12:00~ 売主による着金確認・鍵や書類の引き渡し・領収書の受け渡し
解散
Step1.関係者全員が午前中に集まる
決済は、午前中に執り行われるのが一般的です。
その理由はまず、当日中に残代金が口座に振り込まれたかを確認するためです。さらに、売主に住宅ローン残債がある場合には、決済当日に住宅ローンを完済しなければなりません。また、司法書士は、当日中に移転登記する必要があります。そして万一、重要な実印や登記情報識別書(権利書)を忘れてしまったような場合も、午前中から決済を開始すれば取りに戻ることもできます。つまり、全ての手続きをスムーズに行うために、午前中に集まるのが望ましいとされているんですね。
移転登記とは?
法務局(登記所)に所有権の移転を登記します。第三者に主張するためには、不動産登記法に従って登記申請をする必要があります。移転登記は司法書士に依頼するのが一般的です。
売主、買主、双方の仲介業者とは、売買契約時に顔を合わせていますが、司法書士の先生にお会いするのは初めての場合には最初にご挨拶を済ませます。売主の住宅ローンが残っている場合には抹消登記をする必要があるので、売主も司法書士の先生に仕事を依頼している形になります。
Step2.司法書士に必要な書類を渡す
まずは、移転登記をしてくれる司法書士の先生に、下記の必要な書類を渡します。
売主側:委任状、身分証明書、登記識別通知書(登記済証)、印鑑証明書、固定資産評価証明書、実印、住民票
買主側:委任状、登記原因証明情報、住民票、印鑑証明書等(既に銀行から確認している場合もあり)身分証明書
登記原因証明情報とは?
司法書士の先生による両者の本人確認が必要ですので、必ず身分証明書は用意して下さい。
その他、銀行からも登記移転に必要な書類を預かり、司法書士が全て移転に必要な資料をそろえた状態で銀行にローンの実行をお願いします。
ローンの実行とは?
銀行側に「ローンの実行をお願いします」と伝えると、買主側の口座に融資額―銀行の手数料(保証料や事務手数料)が差し引かれた額が振り込まれます。
Step3.代金のお支払い
続いて、手付金を除いた売買代金の残金、司法書士の先生への報酬、火災保険(クレジットカード払い可の場合もあり)、仲介業者への仲介手数料等の支払いが行われます。
売主側が着金確認をする場合、1時間以上かかる場合もありますので、決済日は一日仕事をお休みする等して余裕をもったスケジュール調整をおすすめします。
着金確認とは?
買主の振込書をもって振込完了とするのではなく、売主の口座にお金が入るのを確認すること。
事前に、仲介会社に着金確認までするかを聞いておくと、当日のおおまかな所要時間がみえてきますね。
今までで一番長い決済は3時間ほどかかったこともあります。
Step4.必要な書類に記入
売主側:売主側はこの間に領収書や引き渡し完了書にサインをしたり、マンションの場合は、入居者変更届に記入したりします。
買主側:買主側は、引き渡し完了書にサインをしたり、マンションの場合は、入居者変更届・管理費等振替依頼書・緊急連絡先のお知らせに記入したりします。
また、引き渡す書類(検査済書の原本や保証書原本)、鍵の確認等もします。意外に忘れてしまいがちなのが、ポストの開け方の確認、宅配ボックスのカード等です。ポストの開け方は、入居後に変更するようにしましょう。宅配ボックスキーも売主が返却して、新たに登録し直す必要もあるので、仲介業者や管理会社・管理人に確認をしておきましょう。
領収書のコピーは司法書士も銀行側も必要になるので、売主から受け取ったら、一旦、仲介業者に渡します。
支払った費用のうち、登記費用や仲介手数料、印紙代等は、売却時に経費に計上できますので、領収書は必ず受け取り、大切に保管しておきましょう。
まとめ
以上が、不動産売買の決済日のおおまかな流れになります。
物件によっては、引き渡す資料や確認事項が多いこともありますが、流れは一緒です。
当日は短時間のうちに流れていきますので、必要な方は担当エージェントから当日の流れを説明してもらうようにしてくださいね。また、当日は指定されている持ち物を持ってきてもらえば、あとはエージェントが全てを取り仕切りますので、ご安心ください。
☆所有権移転登記で住宅の軽減税率の適用を受ける場合には、市区町村長が発行する住宅家屋証明書等が必要となりますので、司法書士に依頼するのか、ご自身で事前に取得するのかはエージェントと相談しておきましょう。