マンション選びで、外すことができない重要なポイントに「管理体制」があります。
内見をしただけでは分からない部分ですが、マンションは共同住宅だからこそ、戸建とは違い、マンションの管理体制も事前に把握しておく必要があります。
また、なぜ重要かというと管理体制がマンションの「資産価値」に大きく影響するからです。
マンションの新築時には、ほとんど差がない資産価値が、10年・15年と年数が経過すると、管理体制の質により大きな差が生まれてきます。
そして、その資産価値の差は、20年・30年と年数を重ねるほど、どんどん広がっていくのです。
マンションの管理体制がしっかりとしていれば、建物の劣化が進みにくく、年数が経過しても資産価値の低下はゆるやかな傾向があります。
しかし、マンションの管理体制がずさんな場合は、建物の劣化が加速して、年数の経過と共に資産価値が急激に下がってしまう可能性があります。
近年、大きな社会問題となっている「マンションのスラム化」も、ずさんな管理体制が原因で、建物の劣化が急激に進み、資産価値が低下することにより、入居者が出て行ってしまう現象です。
では一体何がマンションの管理体制の質を決めるのでしょうか?
管理体制の質を決める大きな要素の一つに、管理会社があります。
つまり、優れた管理会社を選ぶことで、マンションの劣化を防ぎ、資産価値を維持できるということです。
目次
あなたの一票で決まる管理会社
すでに、マンションを購入された方の中には、「管理会社はあらかじめ決まっているので変えようがない」と思われる方も、おられるでしょう。
もちろん、マンション新築時は、購入した方が入居後の生活に支障がないように、建設会社などが決めた管理会社と契約しています。
しかし、契約中の管理会社の質が悪い場合や、もっと優良な管理会社を見つけた場合は、住民の意思で管理会社を変更できます。
では、どのようにして、マンションの管理会社を変更するのでしょうか?
管理会社を変更する場合、まずはマンションの住民で構成する管理組合の理事会で話し合い、適切な管理会社を選定します。
そして、マンション管理組合の総会による住民の議決で、最終的に管理会社の変更が決定します。ですので、住民であるあなたの一票で、管理会社が決まるのです。
さらに、ご自身で管理会社の選定に参加したい場合は、マンション管理組合の役員に立候補する方法があります。
もちろん役員は、ボランティアで仕事しなければならないので、大変です。
でもその反面、共用部分の改善に積極的に関わることができるので、マンションの価値の維持に意見することができます。
一票があるのは区分所有者のみ
ここで注意していただきたいのは、総会で議決権があるのは、マンションを購入した区分所有者のみという点です。
つまり、賃貸入居者には議決権と役員になる権利はありません。
ですので、もし賃貸で入居されている方が、管理会社の変更を希望する場合は、議決権のある区分所有者(オーナー)に意見を伝える必要があります。
普通議決権と特別議決権の違いとは?
では実際に、マンション理事会で新たな管理会社の選定を行った場合、住民の何割の賛成で変更できるのでしょうか?
総会でマンションに関わる事項を決定する場合、その重要度に応じて「普通決議」と「特別決議」の2種類に分かれます。
それぞれの決議方法で決定できる事項は、区分所有法で定められており、以下の違いがあります。
1.普通決議
住民の半数以上が出席し、出席者の過半数の賛成が必要。
決定できる主な事項は、以下のとおりです。
- 収支決算報告と事業報告の承認
- 理事・監事の選任または解任
- 管理委託契約の変更・更新・解約
- 管理会社の変更決議
2.特別決議
住民の4分の3の賛成が必要。
決定できる主な事項は、以下のとおりです。
- 管理規約の設定・変更・廃止
- 管理組合法人の成立
- 共用部分等の変更
- 大規模滅失における建物の復旧
- 建物の建替え
つまり、管理会社の変更はハードルが低い「普通決議」で、決めることができます。
ですので、管理会社の質が悪い場合は、マンションの資産価値を守るためにも、積極的に住民の皆様で話し合い、新しい管理会社を選定した方が良いでしょう。
ただ、現実問題として、同じマンションに住む住民の皆さんで話し合う機会を持つというのは案外難しいことかもしれません。
マンション選びのポイントは共用部分
これからマンション選びをする方は、管理会社を含めた管理体制の質を見分けるためには、どうすれば良いのでしょうか?
管理体制の質を見分けるポイントとして、共用部分に注目することをオススメします。
管理体制がしっかりしているマンションは、エントランスや駐輪場、駐車場、ゴミ捨て場などの共用部分の清掃が行き届き、常にきれいに保たれています。
そうしたマンションは、年数が経過しても資産価値が下がりにくいので、オススメです。
逆に、共用部分が乱れていて管理体制がずさんなマンションは、年数の経過と共に資産価値が大きく下がります。
なぜなら、共用部分は一度乱れてしまうと、なかなか元には戻らないからです。
ですので、マンションの室内が、どんなにきれいに清掃されていても、
・エントランスにDMや広告が、散らばっている。
・共用部分の設備が修繕されていないままになっている。
・過去の張り紙がずっと貼りっぱなしになっている。
などの、共用部分の乱れを発見したら、選択肢から外した方が無難です。
共用部分は、所有者がコントロールできないところなので、購入する前に入念にチェックすることが重要です。
また、管理会社や管理人についても、生活する上で重要なので、事前に不動産会社の担当者に確認しておきましょう。
目に見える資料はある?
管理がしっかりしているかどうかを確認するためには下記の資料に目を通すのも有効的だと思います。
・過去のマンション全体の修繕履歴
・大規模修繕計画案
・管理組合の規約や細則
・組合員に渡している総会の議案書
管理会社がリードして作成しているこれらの資料からも管理体制の良し悪しが分かるかもしれません。
まとめ
マンション選びにおいて、管理体制は外せない重要なポイントということはお分かりいただけたと思います。
管理体制がしっかりしていれば、建物の劣化を防ぎ、資産価値の低下を緩和することができます。
マンションの資産価値を守るためにも、管理体制についての情報を事前に入手し、慎重な判断をしていただきたいと思います。