子育てにおいて、住環境は非常に大切です。子育てのことを考えずに家を選んでしまうと、ストレスが増えるだけでなくマイホームが心安らぐ場所にならないかもしれません。
私も、やんちゃ盛りの2人の男の子を育てる母親。実は我が家、騒音トラブルによって転居した苦い経験もございます。
子育て世帯のマンション購入体験記:不動産プロが語る住居選びの難しさ
今回は、「子育てしやすい環境」「家族がのびのび生活できる住まい」の大切さを身をもって経験し、多くの子育て世帯を見てきた現役仲介のプロ(自ら言っちゃってすみません)が感じる子育てしやすい家の条件についてお話ししていきます。
目次
パパ・ママに人気!子育てしやすい家の間取りや収納、広さ
まずは間取りや収納などの選び方で、子育てにおいて大変な点がどのように解決できるのかを確認していきましょう。
子供に目が届きやすい
子供は、目を離すと何をするかわかりません。少し目を離した瞬間に、ケガをしてしまったり物を壊したりする事態は避けたいですよね。
しかし子供は、身体が小さいためお部屋の隙間や死角に入りやすいもの。最近ではご自宅でテレワークされる方も多いでしょうが、お子さん見守りながら仕事や家事、料理をするのは簡単ではないでしょう。
お子さんが小さいうちは、リビングで過ごすことも多いはずです。そこでまずは、お住まい選びに際してリビングの形状や配置、導線に目を向けてみることをおすすめいたします。
- キッチンからリビングが見渡せる
- リビングに勉強・仕事ができるデスクスペースがある
- リビング横に和室がある
- 浴室・洗面室がリビングに隣接
- リビングを通らなければ各居室にいけない間取り
当然ながらお好みはあるでしょうが、上記のようにリビングが生活の基盤となる間取りは子育て世帯に人気があります。
また家事の時間を減らすことも、子供を見守るうえでは大切です。食洗機やディスポーザー、浴室乾燥機などがあると、家事の時間を減らしてお子さんを見守る時間や遊ぶ時間を確保しやすくなりますね。
収納が使いやすく部屋が散らかりにくい
子供がいると、服やおもちゃなど物がとにかく増えます。収納が足りないと常に散らかっている状態となるばかりか、お子さんに「片付ける」ことを教えにくくもなってしまうでしょう。
かといって、タンスや収納ケースを設置するとお部屋が狭くなってしまうもの。よって「子育てしやすい家」の条件の一つとして、備え付けの収納が多くちょうど良い場所にあるということも挙げられると思います。
例えば、リビングのようなお子さんが遊ぶ場所に豊富な収納があるお住まいを選ぶと、お部屋が散らかりにくくなるだけでなくお片付けをする習慣も身につけられるはずです。また、自転車や三輪車、キックボードなどを納めやすいように、玄関に収納があるお家もおすすめです。
子供の成長に合わせやすい
遅かれ早かれ、子供には子供部屋を与えなければならない時期がきます。
身体も大きくなってくる小学校中学年以降に子供部屋を考えるご家庭が多いと思います。
子供部屋の位置の例 | 目的 | |
幼稚園・保育園 | リビングの横にある和室 | 遊び場やお昼寝の場所として活用するため |
小学校進学後 | リビングから見える部屋 | 行動を把握しやすくするため |
中学校進学以降 | 玄関横の部屋 | 勉強に集中してもらうため |
お子さんの部屋は、上記のように成長に合わせて変えられるといいかもしれません。リビングや各居室が広い家であれば移動式の壁や間仕切りで子供部屋を確保する方法もありますので、必ずしも「部屋数が多い家」が必須ではありません。
とはいえご購入時のみならず、将来的な使い勝手を考えて間取りや広さを選ばれるといいと思います。
また、日本人にとってはそんなに何回も引越するというのは一般的ではないかもしれませんが、家も家族構成が変われば、変えていくものと思います。
家族構成が変わったときに売りやすい(手放しやすい)物件を選ぶというのは大事な視点の一つになります。
戸建て住宅とマンションはどちらが子育て向き?
「戸建住宅とマンションでは、どちらが子育てしやすいの?」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論をお伝えすると、戸建て住宅とマンションにはそれぞれに良いところがあるので、ご家族の好みやライフスタイルで選んでしまって問題ありません。
ここでは、戸建て住宅とマンションそれぞれの良い点を解説します。
戸建て住宅
戸建て住宅の良いところ挙げるとすれば、以下のような点です。
- 広い庭を設けやすい(土地が狭い都心部では屋上も◎)
- 生活音に対する心配が少ない
- 間取りや収納をカスタマイズしやすい
戸建て住宅では、お隣りや階下に音や振動が漏れ伝わってしまう心配が少ないといえます。ペットも飼いやすく、花や野菜を植えて一緒に育てたりしやすい点も、戸建て住宅の良いところですね。
また住宅を新たに建築する場合、ご自身が利用しやすい位置に収納を設置したり、家族が暮らしやすい間取りにしたりできます。こだわりの環境で子育てをしたいという方は、戸建て住宅を検討される方が多いように思います。
マンション
一方で、マンションの良いところは以下のような点です。
- 共用部が充実している
- 防犯機能が高い
- 立地が良い場合が多い
マンションの共用部分には、キッズスペースや公園などが設けられている場合があります。キッズスペースでの交流を通じて、お子さんに同年代のお友達ができやすくなるだけでなく、苦楽を分かちあえるパパ友やママ友も自然と増えていくでしょう。
またマンションは、オートロックや監視カメラも設置されているため防犯面が優れています。将来的にお子さんが「鍵っ子」になる可能性があるのなら、防犯性能が優れたマンションの方が安心かもしれませんね。
駅近のような立地が良い物件が豊富なのも、マンションが優れているポイント。電車に乗って家族でいろいろな場所にでかけたい方や、将来的に住み替える可能性がある方は、利便性が高く資産価値の落ちにくい駅近のマンションを選ぶのも選択肢の一つです。
ただしマンションは、防音性能が優れているファミリータイプを選ばないと、上下左右の居住者からクレームが来る恐れがある点に注意が必要です。
下記のグラフのように戸建・マンションとも優劣ポイントがありますので、優先順位をはっきりさせて、納得のいく住まいを選択頂ければと思います。
子育てしやすい家の立地
子育てにおいては、家の立地も非常に重要です。ここでは、子育てしやすい立地の特徴を解説していきます。
職場が近い
家から職場まで、片道1時間以上かけて通勤している人も多いのではないでしょうか。通勤に時間がかかると、疲れるだけでなく家族と過ごす時間も減ってしまいます。
職場に近い家を選ぶと、通勤時間が短くなって、お子さんと遊んだり家族と過ごしたり時間を増やせます。お子さんの成長も、より感じやすくなるのではないでしょうか。
実家が近い
子供が小さいうちは、とにかく目が離せません。たとえ大好きなわが子であっても、ずっと一緒にいると疲れを感じてしまうこともあるでしょう。
また、どんなに子育てに理解のある会社に勤めていても、病気やケガなどで保育所や幼稚園などから頻繁に呼び出されると、職場の人に気を使ってしまうかもしれません。
そんな折、お住まいの近くにご実家があれば、お子さんに何かあったときや子育てで疲れてしまったとき、両親にヘルプを頼める可能性があります。いわゆる「近居」というものですね。ご実家のご理解も必要ですが、子育てに協力していただけるのであればおじいちゃん・おばあちゃんにとっても良い選択になるかもしれません。
公園や病院、学校が近い
公園や病院、学校のような施設の近さも、子供のことを考えてお家を選ぶうえで大切なポイントです。
どんなにお子さんが暮らしやすいお家を購入しても、ずっと家で遊んでいるといずれ飽きてしまいます。そんなとき、家の近くに公園があると、お子さんがお家での遊びに飽きてしまったときに連れていきやすいです。
また子供は、風邪をひいたりケガをしたりしやすいです。病院が近くにあると、お子さんが熱を出したりケガをしたりしたときに、すぐに手当をしてもらえます。
学校の近くに家を購入すると、通学時間が短くなって勉強や習い事、遊びなど、子供のうちしかできないことに時間を充てやすくなるでしょう。
売却しやすい
駅近や再開発が進むエリアなど、資産価値が落ちにくい物件を選ぶと、高値で売却して住み替えやすくなります。
ひと昔前は、購入した家に住み続けるのが一般的でした。しかし昨今では、ライフスタイルの変化に応じて家を住み替えるという選択をされる人が増えてきています。
例えば、出産・お子さんの進学・転勤・介護などによって家が手狭になったり家族にとって便利な立地が変わったりすれば、より暮らしやすい家に住み替える必要性も出てくるかもしれません。また最近ではテレワークを導入する企業が増えていることから、郊外や広い一戸建てに転居したいと考える方も多くいらっしゃいます。
物件が売れないことには、住み替えはできません。また、不動産は基本的に住宅ローンの完済が売却の条件。資産価値の落ちにくい物件を選ぶと、状況や希望に応じて住み替えを選択しやすくなり、人生そのものの選択肢・可能性が増えると思います。
まとめ
住宅の選び方で、子育てのしやすさは大きく変わります。どの間取りや広さ、住宅の種類が子育てに適しているかはご家族の数だけ正解がありますので、現在や将来の生活も踏まえて検討されてみてください。
子育て世帯が住宅を選ぶときには、考えるべきことや決めるべきことがたくさんありますので、想像以上に大変だと感じる人もいらっしゃるでしょう。しかし、一つひとつを丁寧に決めて物件を絞り込んでいくことで、あなたやご家族にピッタリの住まいがきっと見つかるはずです。